先日、私が講師を務めた某オンライン講座のリアルオフ会がありました。講座後もチャットアプリを使ってやり取りが続いていて、1人が「この日に上京します」とコメントしたのをきっかけに、じゃあ集まろうとオフ会が実現したのです。近くは横浜、遠くはオーストラリア(ちょうど一時帰国中)から集合して、リアル乾杯ができました! 楽しかった! 全員集合とはいかなかったので、また集まる口実ができました。
そのオーストラリア在住のJさんから、すご~く嬉しいことを聞いたので、今回はそのお話。
私がこのブログを始めるずっと前、10年くらい前かな。同業の友人たちと「トリローグ」というブログを書いていました。声をかけてくれたのは、いまや配信作品を中心に大活躍のちょこちゃん。まだお互い仕事の広げ方を模索していた時期で、「玉置部部長」ことEちゃんも参加して3人でスタート。3人のモノローグだからトリローグ。そこに翻訳以外のことはお任せの敏腕助っ人Mちゃんが加わり、4人で代わりばんこに日々の記録を綴りました。
当時は発信する翻訳者が少なかったこともあり、ブログをきっかけに翻訳系のイベントに呼んでいただいたり、専門誌で紹介していただいたり、経歴10年前後にしては身に余る光栄な機会をいただいたものです。私たちも(今より)若くて勢いがあり、怖いもの知らずだったなと、振り返ると冷や汗が出るものの、楽しい経験でした。しだいに業界のセキュリティが厳しくなって書けることも少なくなり、仕事が忙しくなったのもあり、2年ほどでブログを閉じました。
短い期間で閉じたトリローグですが、たまに「読んでました」と言われると、嬉しさと恥ずかしさで何とも言えない気持ちになります。何しろ、業界をよく知らないからこそ書けたことも多かったのです。Jさんもオーストラリアでトリローグを読んでいて、なんと映像翻訳の勉強を再開するきっかけになったんだとか。
Jさんは翻訳のスクールを終えた頃に、結婚して渡豪することになり、「日本にいなければ映像翻訳の仕事は無理」と言われて諦めました。今は仕事の素材をネットでやり取りできますが、当時はまだビデオテープでやり取りしていた時代。私も仕事を始めた頃は、バイク便や、制作会社の人が最寄り駅に来て素材をもらったりしてました。
そんなJさん、トリローグを読んで「やっぱり映像翻訳をやりたい」という気持ちに火がついたのだそう。やがて、コロナ禍をきっかけにオンライン講座が増え、学び直しを始めたのです。そして、いまや海外にいても映像翻訳の仕事ができる時代に。海外拠点の会社も増え、シミュレーションや初号試写に立ち会わない仕事なら、どこにいてもできてしまいます。実際、Jさんも制作会社のトライアルを受けて仕事を始めつつ、いろんな講座を受けて学びを継続。Wakkaのお手伝いまでしてくれています(ありがたや~)!
10年前に手探りでやっていたブログが、海を越えてJさんの心に響き、行動のきっかけになっていたと知り、じわじわと嬉しさがこみ上げました。発信を続けていると、こういうことがたまに起こります。思わぬところで誰かに影響を与えていて、意外な反応が起きる。
もちろん、いい影響ばかりじゃないだろうし、受け取る人の気持ちはコントロールできない。だから、細心の注意を払ったうえで、ある程度は仕方ないと覚悟を決めています。とはいえ、ブログをアップする時は毎回ドキドキするので、Jさんの話はものすごく励みになりました。少しずつでも発信を続けてきて、本当によかった。Jさん、伝えてくれてありがとう! トリローグを代表してお礼を伝えます♡
「英語の友」で連載中のコラムも、実はブログをきっかけに始まりました。字幕を担当した映画『ハード・トゥルース 母の日に願うこと』のセリフを解説しているので、観る前に読む、をお薦めします!
写真は2度目の江の浦測候所。手前の小さな石は「この先は危険だから行かないでね」の目印です。人生にも、そういう目印があるといいなあ。
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