男心と一人称

担当しているドラマシリーズは今季でシーズン6! アメリカでの放送に合わせて訳しているので6年目(途中、コロナの影響で間が空きましたが)。ただでさえ群像劇で人間関係がややこしいのに、さらに絡み合って大変なことになってます。

シーズン始まりで毎回悩むのが一人称。何しろ前シーズンから1年経っているので、ほぼ忘れてます。特に男性は「私」「僕」「俺」「オレ」などバリエーションが多い。しかも話す相手によって使い分けるんですよね。

映画など1本で完結する場合は「この人は僕キャラ」と決めたら、視聴者が混乱しないよう、なるべくそれで通すのが一般的(もちろん内容によります)。だけど、ドラマなど人間関係をじっくり描く場合には、関係性を表すために、あえて一人称を変えることもあります。職場や公の場では「私」、恋人や家族の前では「僕」。たまにキャラ変して「僕」キャラだったのに「俺」様キャラになることも。逆に強がってたのに、「僕」キャラが見えてキュンとしたり。

ドラマとはいえ、字幕であまり頻繁に一人称が変わるのも混乱するので、変える時は担当さんに知らせたり相談したりします。たいてい、字幕と吹替で一人称は揃えますが、今のシリーズは字幕と吹替は別ものとして、揃えていません。文字で読むのと耳で聞くのでは、印象が変わるんですよね。そこも面白さの1つ。(だから字幕と吹替、両方見てね♪)

できる翻訳者は一人称や関係性、固有名詞などをエクセルなどの表にまとめて、シーズンが始まっても焦らず対応(してるはず)。私も最初はせっせと入力したりするものの、途中で忘れて放置。せめてシーズンが終わるごとにまとめればいいものの、終わると完全に頭から抜けちゃう…。なんかこれ、確定申告のたびに反省することと同じような(泣)

実は私、何を隠そう自分でエクセル表を作れないんです。必要な時は作成済みの表を使ったり、サンプルでいただいた表をコピペして中を消して使ったり、友達に作ってもらったり(ありがとう!)。今のドラマでも、吹替翻訳担当のEちゃんが表を作ってくれたのですが、シーズン3あたりで止まってます。

というわけで、今年の目標の1つは、自分でエクセルの表を作れるようになる。

はよやれって感じですが。頑張ります。

写真はDavid Costabileのインスタから。わかる人にはわかる、キュンと切なくなる1枚♡

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旅する翻訳家のお仕事日記

岩辺いずみ   字幕翻訳家&ライター。英語、フランス語を中心に映画やドラマの字幕を手がけています。 カナダに1年、スイスに1年、アメリカに4年、フランスにちょこっと滞在。 翻訳を中心に、映画と旅とお酒の話を綴ります。 息子2人のシングルマザー。 子育ても終わりつつあるので、のんびり海暮らしへ移行中。 ★WORKSの「記事一覧」からブログを開くとコメントを残せます。