読書日記『翻訳者の仕事部屋』

あっという間に日常へ。2025年が動き出しましたね。

今年は月1で読書日記も書いてみようと思います。


この半年は「積ん読」を減らすべく、棚に眠っていた本を積極的に読んでいます。

『翻訳者の仕事部屋』は初版が1999年、手元にあるのが2000年の第2刷なので、どれだけ眠っていたのやら。

私のは飛鳥新社のハードカバーですが、今はちくま文庫から出ているようです。

著者は名だたるミステリーや『アンネの日記(完全版)』などを訳されてきた深町眞理子さん。

私が翻訳の勉強を始める前、まだアメリカにいた頃に父が送ってくれたもので、中に父の手書きのメモが挟まれていました。(メモは当時も読んで、そのまま挟んでおいたらしい。)


当時は翻訳者に憧れていたものの、それを仕事にする具体的なイメージが湧かず、子育てをしながらモヤモヤしていた時期。

本をパラパラとめくってみたものの、自分の世界とかけ離れすぎていて、読むのをやめてしまったのを覚えています。

今回、朝の15分読書の1冊として読んでみたら、ミステリーをこよなく愛し、文芸翻訳で身を立ててきた深町さんの覚悟と潔さと軽快さを、しみじみと感じました。


深町さんの子供時代やミステリー絡みの話も面白いのだけど、翻訳者としてガツンとやられたのは後半の「フカマチ式翻訳実践講座」

この部分だけ横書きで、原文と詳しい説明付きで訳例があり、この説明が同じエンタメ翻訳者として深くうなずくことばかり!

(いえ、同じというのも、おこがましいのですが。)


詳細はぜひ本で確認していただくとして、フカマチ式翻訳4原則をシェア↓

第1条 外国語ないし、それを日本語に翻訳するという作業に謙虚さを持つこと。

第2条 物語の背景、作者の言わんとすることを的確につかむ想像力を持つこと。

第3条 日本語にたいするセンスを磨き、表現力を養うこと。

第4条 広範囲にわたる知識、教養を身にけること。


翻訳の勉強をした人なら、聞いたことがあることばかり。

1つ1つがとても大切なことなのに、日々の仕事に追われて忘れてしまったり、おざなりにしてしまったり。

身が引き締まる思いでした。

年始に読めてよかった1冊です。

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旅する翻訳家のお仕事日記

岩辺いずみ   字幕翻訳家&ライター。英語、フランス語を中心に映画やドラマの字幕を手がけています。 カナダに1年、スイスに1年、アメリカに4年、フランスにちょこっと滞在。 翻訳を中心に、映画と旅とお酒の話を綴ります。 息子2人のシングルマザー。 子育ても終わりつつあるので、のんびり海暮らしへ移行中。 ★WORKSの「記事一覧」からブログを開くとコメントを残せます。