アカデミー賞の発表が近づいてきましたね。それに合わせてノミネート作品が続々と日本公開され、映画好きとしては嬉しいやら慌ただしいやら落ち着きません。
そんな中、字幕担当作『Playground / 校庭』が3月7日に公開されます!
こちら、カンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞受賞、アカデミー賞の国際長編映画賞ショートリスト選出のベルギー映画。72分と短いながらも、凝縮された世界観に圧倒される作品です。
小学校に上がったばかりの少女ノラは引っ込み思案で、大好きなお兄ちゃんのアベルだけが頼り。だけど、学校で会うお兄ちゃんは冷たくて、友達はなかなかできないし、体育の授業はちょっと怖い。それでも、少しずつ学校に馴染んでいくにつれて、家族の見え方も変わってきて・・・。
音楽なしで、ひたすらノラの目線とアップを追って描かれる学校という世界。それまで大好きな家族に包まれていた世界が揺らぐ不安、大人の目線とのズレ、どうしたらいいか分からなくて、いっぱいいっぱいな気持ち。ノラの気持ちがスクリーンから溢れ出て、自分の小学校の記憶と重ねてしまいます。「あ~そうだったな」って。
この作品を観ると、正解を教えてくれる大人より、一緒に悩んでくれる大人の存在がどんなにありがたいか分かります。そういう大人、私が子供の時にいた覚えがない。いてくれたら、また違ったかな。・・・そんなことを、あれこれ考えながら訳しました。
翻訳の話を少しすると、子供の言葉って字幕にしにくいんです。字数制限がある中で「兄」としたいけれど、やっぱりノラの年なら「お兄ちゃん」か名前の「アベル」だし、難しい漢字が並ぶのも違和感があるし、かといって平仮名ばかりだと読みにくい。ちょっと無駄のある言い方をするのが子供ならではだったりするし。それでも、子供の口調を考えるのは楽しかった♡
派手さはないけれど、心の奥底に響く作品です。ぜひぜひ、いろんな方に観てほしい。
憧れの文芸翻訳家、三辺律子さんがX(旧ツイッター)で絶賛してくれているのも嬉しかったです♡
地域によっては4月以降の公開になるようです。出会いと別れの季節にぜひ♪
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